【機能性鶏卵】

《Appendix 2. Known-Unknown ピークについて》

CE-TOFMSの測定結果において、候補化合物名に「XA~~~、XC~~~(ID)」と記載されているピーク(Known-Unknown ピーク)は、HMTの測定実績において複数の生体試料種から検出が確認されているピークを示す。このうち、比較的多くの試料種から検出され、また候補代謝分子の分子式が予測されるものを下表に示す。

機能性鶏卵(国際特許取得 番号確認中)は鶏にタモギタケを給餌して作られます※1。生体にとって稀少な有用物質であるエルゴチオネインは卵に生物濃縮され、一般的な鶏卵と異なる性質を持った鶏卵になっております。
※1 ちゃたまやサイト(外部リンク)

《昔の鶏卵と現代の鶏卵》

昔の鶏卵には食物連鎖による生物濃縮でエルゴチオネインが含まれていたと考えられます。古来より日本では養鶏が行われており、『にわとり』の語源の一つとされている『庭つ鳥』が示す通り庭先で放し飼いされていました。庭に放し飼いされた鶏は与えられた餌の他に、庭先の虫や植物を食べておりました。この虫や植物はきのこなどの菌類を食べたり、土壌中の細菌が生成したエルゴチオネインを根から吸収することで体内にエルゴチオネインを蓄積し、それらを食べた鶏の体内にエルゴチオネインが生物濃縮していったと考えられます。
現代の配合飼料にはエルゴチオネインの含有量が微量若しくは全く入っていないため、この飼料で生産された鶏卵の多くはエルゴチオネインが検出されません。

《卵の性質》

タモギタケ給餌が鶏卵産出にどのような差異が生まれるかを調べるために、一般的な飼料を給餌した鶏の卵(一般鶏卵)と一般的な飼料にタモギタケ粉末を加えて給餌した鶏の卵(機能性鶏卵)のメタボローム解析を行いました。

解析の結果、機能性鶏卵からのみエルゴチオネインと補酵素の一つであるNADH※2が検出されました。また、アミノ酸の一つであるGABA※3をはじめとする幾つかの有用物質の含有量が増加していることがわかりました(表1)。

※2 生物の主な酸化還元反応の多くにおいて必須な補酵素です。サプリメントとしても流通しています。
※3 主に抑制性の神経伝達物質として機能しているアミノ酸です。サプリメントとしても流通しています。

表1.メタボローム解析結果 一部抜粋

鶏卵含有物質 電気泳動装置 飛行時間質量分析計
MT(泳動時間)
migration time
m/z
(質量電荷比)
ピーク面積
一般鶏卵 機能性鶏卵 面積比
NADH 664.12 8.130 非検出 1.6E-05
NAD+ 662.10 6.568 6.2E-05 8.1E-05 1.3
Glycerophosphocholine 258.11 24.750 4.0E-03 8.2E-03 2.0
Thiamine 265.11 7.286 4.9E-04 9.4E-04 1.9
GABA 104.07 8.516 1.6E-04 2.9E-04 1.8
Glycyl-glycine 133.06 9.290 1.5E-04 2.7E-04 1.8

また、鶏卵に含まれる不快臭の原因とされる物質の下記3種は機能性鶏卵からは検出されませんでした。

★酪酸/イソ酪酸…足の裏のような匂いの物質
★ヘキサン酸  …ヤギのような匂いの物質
★オクタン酸  …不快な腐敗臭の物質

このことから、機能性鶏卵は成分面のみならず、嗜好性の面でも一般鶏卵より優れていることがわかりました。

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